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最高裁判所第二小法廷 昭和30年(オ)174号 判決

上告人

(原告・控訴人) 山本早雄

被上告人

(被告・被控訴人) 佐賀県知事

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

論旨は、原判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の違背を主張するものと認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判官 栗山茂 小谷勝重 藤田八郎 池田克)

上告人の上告理由

一、イ、第二審判決は控訴申立事項即ち控訴状二、2、イ、控審準備書面第一号四、1、イ、同じく準備書面第二号同じく準備書面第三号四、2、イの主張に対し何ら疎明されず民事訴訟法第一四〇条擬制自白規定、法令第二条慣習法規定、民法第六四四条受任者の注意義務規定及地方公務員法第三〇条服務の根本基準規定違犯判決である。

ロ、第二審判決は控訴申立事項即ち控訴状二、2、ロ及び控審準備書面第一号四、1、ロ、同準備書面第三号四、1、ロの主張に対し、何ら疎明されず民事訴訟法第一四〇条擬制自白規定及地方税法第七六四条違法又は錯誤に係る事業税の賦課等の救済規定(第八項)違犯判決である。

ハ、第二審判決は控訴申立事項即ち控訴状二、2、ハ、全主張控訴準備書面第一号第二号第三号全主張に対し何ら疏明されず不法判決である。

立証

判決理由中

(い) 所得標準率採用の動機、即ち訴外山本ナヲが信憑性ある記帳をしていなかつたので己むを得ず佐賀県に於て作成した、昭和二十七年度所得標準率を適用して、其の所得を推計したということは、商法第八条を疏明せず、原審に於ける原告疏明(第二回口頭弁論準備書面第二号四、2、防禦の記第二、3、の疏明)の通り口頭申立で充分であるが故に不法判決である。又控訴状二、2、ハBC全主張に対し、何ら疏明されず不法判決である。其の他控訴状二、2、ハ、全主張控審準備書面第一号四、1、攻撃、ヌ、の疏明及同じく準備書面第三号四、1、攻撃、ハ、Aの主張を援用する。

(ろ) 所得標準率適用につきその賦課手続きに於いて、地方自治法第九六条(議決事件規定)を疏明せず不法判決である。

(は) 所得標準率は地方税法第七四四条課税標準規定第九項を疏明せざることは、左記(に)主張及び原審に於ける証人の降伏答弁に依り明らかである。この件は原審準備手続結果陳述書面、四、2、防禦、へ、主張及び控訴状四、2、主張並びに控審全準備書面防禦全主張に対し、被告より何ら攻防疏明なきことで充分である。

(に) 勤労報酬は必要経費にて控除を要することは、地方税法第七四四条課税標準規定第九項及同法施行令第二十三条(必要経費を列挙後尾「其の他必要な経費に限る」に該当する)に明らかなるを以て『「原判決控訴人及山本ナヲに対する報酬の如きものは、控除すべきものにあらず」控訴裁判所の認定見解も亦右と同一』と判示せるは何ら法的に立証されず不法判決である。

又原判決理由に「昭和二九年二月二六日附通知書は同訴外人の照会に対し、印刷通知書用紙を使用してなした回答であることを推認するに十分で何ら法的効果を伴はないものであること明らかであるから右通知書に記載された理由の当否はこれを判断する必要はない」と判示せられたると齟齬し、不当である、且つ原審被告答弁書一、イ及四、1、イ、主張は同審原告提出昭和二九年四月二七日附準備書四、2の記の(一)、イ及(四)、1、イ主張で完全に敗れ成立せず、依つて同判示は「控訴状二、2、ハ、第一審判決中課税標準に関して」の全主張、控審準備書面第一号規定、地方税法第七四四条課税標準規定違犯である。

(ほ) 所得標準率に関する判決理由は「控訴状二、2、ハ、A」の主張に対し、何ら疏明されず、原告の出訴条件(却下決定理由の欠除)を無視せる不法判決である。

(へ) その他控訴状準備書面第一号、第二号、第三号申立事項(攻撃)を援用する。

ニ、第二審に於いて、控訴人原告の控訴状準備書面第一号、第二号、第三号計四回の攻撃防禦に対し、被控訴人被告は答弁書を以て単に原判決によると応じたのみで、――何ら攻防疏明するなし。

而して、被控訴人被告の答弁書主張は控訴人被告の準備書面第二号主張に依り完全に敗れ成立せず、その後亦、被控訴人被告より何ら攻防疏明するなし。

依つて被控訴人被告は民事訴訟法第一四〇条に依り擬制自白したるものと看做すべきである。

然るに第二審判決は右の事実及民事訴訟法第一四〇条擬制自白規定に対し何ら疏明せず逆に本告の主張を立証不充分と判示したるは、憎悪すべき不法判決である。

ホ、第二審判決は『控審準備書面第三号四、1、攻撃、ホ、本年十月二三日本審口頭弁論に於ける裁判所主張「被控訴人被告は準備書面の提出を要せず」は、民事訴訟法「第二四二条(準備書面の必要規定)及第三七七条(口頭弁論規定)第二項当事者は第一審に於ける口頭弁論の結果を陳述するを要する」を疏明せず不当主張である。速かに口頭弁論再開の上善断されるよう申立てる。』に対し何ら疎明されず不法判決である。

二、攻撃防禦の方法

1 本上告状三、2「其の判決に対し上告を為す旨の表示並に上告理由」主張の通り攻防する。

2 控訴状及控審に於ける全準備書面攻防並に原訴状及原審に於ける全準備書面攻防を法律の通り確認し再び茲に主張する。

3 本上告状御受理の上は上告理由書準備書面に依り主張する。

三、相手方の請求及攻撃又は防禦の方法に対する陳述

相手方の主張を聞いた後陳述する。

四、附属書類

省略

五、其の他重要事項

1 控審本告の主張の通り主張する。

2 本上告状につき、最高裁判所に於いて、本告の主張に不備のかどある場合は、直ちに却下決定、棄却の判決あることなく、一応補正命令若しくは疏明請求をされ 本告に疏明の機会を与えられ、民をして無告に陥らしめることなき様特に切望する。この儀大事につきよくよく勘考の上善断あらんことを切望する。

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